税務署員との対応のカギは、主張すること!

税務調査は、黙っていてダメです。納税者側からの主張が大切です。専門家であれば一定主張できますが、一人ではなかなか大変です。

主張しない納税者が多いのが現実ですが、そのために横暴な税務調査が横行していました。今回の事前通知義務は「突然の訪問はダメ、事前に連絡し都合を聞いて調査しなさい。脅かした調査は違法であり、やめなさい」という規定です。「事前通知」もなく、いきなり調査にきた場合は、キッパリと断り、民商に相談しましょう!

「納税者の権利」より ⑪ 2012/11/05

Q3 「事前通知」もなく、いきなり税務署員が来たらどうしたらいいのですか

201209納税者の権利 (18)

 事前通知なしできたときには、「急な調査には応じられない」と言ってお引き取りいただきましょう。そのとき税務署員の身分証明書(写真添付)を提示させ、職員の身分と氏名、電話番号を記録しましょう。(17ページ参照)


 税務署が突然来た場合はすぐ、民商事務局と近くの役員に連絡しましょう。「改正」通則法は事前通知を原則義務化しました。ところが、「事前通知をしない場合」の例外規定も盛り込まれました。

 「税務代理人以外の第三者が調査立ち会いを求めるなど調査の適正な遂行に支障を及ぼすことが合理的に推認される場合」は事前通知しなくてよいとするものです。とんでもないものです。

 この規定は、国税通則法が定める課税処分のための調査権を逸脱する「多目的調査」となる可能性があり、憲法が保障する結社権(憲法21条)を侵害します。

 中野民商第1審判決(東京地裁、1968年1月31日判決)では、質問検査権の行使が被調査者の営業活動を停滞させ、得意先や銀行等の信用を失墜させ、その他私生活の平穏を著しく害するような態様でなされた場合は、法的限界を超えるものと言わなければならないと断罪しました。さらに、仮に質問検査権の行使が私生活や営業活動を妨げない適法なものであっても、調査対象の選定で差別的である場合や、調査対象の選定について差別がなくても調査の深度において差別がある場合、さらに調査の目的がその本来の目的(納税義務確定の目的)以外のものである場合(他目的調査といい、中野民商判決では納税者を民商から離脱させる目的でなされたと認定した)には、憲法21条で保障されている人びとの「結社の自由を侵害することが目的であったとされた、そのことだけで法的限界を超えた」とみなされなければなりません。