参議院選挙で菅首相は「(日本も)このままいったら、2年か3年で、あるいは1年か2年でギリシャみたいになっちゃうよ」と発言し「消費税を増税」を訴え、一方で法人税引き下げのセットである。ギリシャの法人税、40%(2000年)から段階的に24%(2010年)まで引下げ、税収が落ち込んでいる。

一方で消費税を2006年の18%から順次引上げ、今年7月には23%にもなる。法人税引下げで財源に大穴をあけ、対応しきれないまま危機に陥っている。

▼ 買い物のたびにかかる消費税、1000円の買い物で50円の税金、それが100円に引き上げる話である。「消費税10%絶対反対」「大企業の減税の財源である消費税10%に反対」「景気回復していないのに増税反対」「もっと経費削減してから検討を」と国民は反撃した。

▼ 憲法は、30条で「国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負う」と定め、時の政府の課税権の限界を示している。税率アップも国会の議決で決まる。現行消費税は地方消費税と合せて「5%」と輸出の「0%」の税率の2段階税率である。納税義務者は、消費税法第5条で事業者と定めている。事業者は売上の消費税から仕入等の消費税の差引金額を納付する(又は還付を受ける)。

▼ 庶民の常識は買い物たびに5%支払う。しかし輸出事業者は「0%」なので多額の還付金が発生する。2007年分でトヨタ自動車3219億円、ソニー1587億円、本田技研工業1200億円、日産自動車1035億円、キャノン990億円など輸出大企業10者合計で1兆1450億円の還付金である。消費税増税論議は、「消費税の負担増」という庶民の常識と「もっと還付金を増やせ」という財界の常識の争いでもあるのではないだろうか。

事務局長 野坂 勲