時々おとずれる商業施設の中にその過去がある。

20年以上も前に手掛けた柱の塗装がそれである。大きな空間の中で他にも手を施した場所はたくさんあるが、もっとも近く素手で触ることができるのはこの場所だけである。


20年以上もの前の仕事で、特別他の人が手に触れられる場所にありながら当時のままのたたずまいを残している。
住宅内装ですら20年以上も持たないのが現実で、まして商業施設で変化をしていないのは稀である。この柱も、色々な人たちが触れ、擦り切れそうな時を過ごしたに違いない。
これより幾年この形を保つことができるか解らないけれど、幾年後また寄って見ることにしよう。

私も柱君の様に骨太で雄々しく生きては行けないかもしれないけれど
少なくとも、雨が降ろうが雪が降ろうが柳の木のごとくしなやかに折れることなく生き続けて見せるよ。

互いに頑張ろう。


村井 義夫 インテリア村井代表(内装業)